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【コラム】キャッシュレス化は、はたして職場の生産性を上げるのか

2018.07.26
ワークスタイル

キャッシュレス後進国ニッポン

日本のキャッシュレス比率は最新のデータで20%。アメリカ46%、中国60%、韓国に至ってはなんと96%。
諸外国の数値と比べると、いかにキャッシュレス化が遅れているかは一目瞭然です。
政府は2020年までにキャッシュレス比率を2倍の40%を目指す方針を打ち出し、キャッシュレス化を推進しようと目論んでいます。
しかしながら、日本では現金決済が一般的であり、クレジットカード決済やモバイル決済を進めようにも、消費者及び事業者も積極的ではありません。
そもそも日本における紙幣への信頼度の高さが、キャッシュレス化へのボトルネックだという指摘もあります。

SuicaやPasmoが街中にまで浸透!

そんなキャッシュレス後進国ニッポンですが、兆しもあります。
「Suica」や「Pasmo」といった交通系電子マネーを利用できる店舗が格段に増えてきているのです。
そもそも電子マネーは、サインや暗証番号が不要で “ピッ!”で支払いが完了できるという手軽さが魅力の決済手段。
それが、街中まで浸透してきたことで、キャッシュレス化が一気に進みました。

あるビジネスマン(50代)は、東京から仙台に出張に行き、仕事を終えてホテルにチェックインしようとした時にはじめて、財布を家に忘れてきたことに気付いた、と語っていました。
彼は、新幹線を含めた仙台までの移動や、コンビニでの昼食購入等、その日のすべての決済を「Suica」で行っていたのです。
まさに交通系電子マネーの利便性の高さを物語るエピソードです。

複雑さを増すレジ前の問題

キャッシュレス化は、利用する側のお客さんに利便性の向上をもたらすものの、しかしながら提供する側のスタッフにとっては、けっこうやっかいな事態でもあります。
現金で支払わない場合、支払いはクレジットカードなのか、あるいは電子マネーなのか、確認する必要があります。
電子マネーで決済するとなれば、Suicaなどの交通系なのか、楽天EdyやWAONなどのお買い物系なのか―――。
それによって取り扱う機器や手順も違ってくるため、レジ業務が煩雑になっているのです。

先日都心にオープンした大型商業施設にあるカフェは、その利便性の提供度合をマックスにすべく、あらゆる電子マネーの利用をOKにする準備を整えていたのですが、いかんせんスタッフにはそのすべてに対応するキャパが整っていませんでした。
「Pasmoで払おうとしたんですけど、たぶん新人のオープニングスタッフさんだったんでしょうね。朝の貴重な時間にあたふたとした対応をされて5分以上待たされました」という怒りの声もありました。

キャッシュレス化の果実を味わうためには

キャッシュレス化によってもたらされる果実の大きなひとつが生産性向上による人手不足の解消だと言われています。
ロイヤルホールディングスしかりサミットしかり、ITによるキャッシュレス化を進めている背景には、明らかに人手不足があります。
とはいえキャッシュレス化によって生産性が向上するには、働き手がキャッシュレス機器に対応できてこそ。
キャッシュレスサービスが増えれば増えるほど、習得しなければならないオペレーションが多岐に渡っていくわけです。

人手不足解消を目的としてキャッシュレスに取り組んだのに、逆に生産性が悪化したというような “残念な職場あるある”は、キャッシュレス興隆期のニッポンでは増えてくるんでしょうね。

キャッシュレス化によって生産性を向上させるためには、働き手のリテラシーに対する想像力が極めて重要です。
導入したら、ちゃんと教えてあげましょう。



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プロフィール

平賀充記(ひらがあつのり)

株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役。ツナグ働き方研究所所長。リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)にて、FromA、タウンワーク、はたらいくなど、リクルートの主要求人メディア編集長を歴任。2014年からツナグ社の経営陣の一人として着任。「多様な働き方の専門家」として活動している。

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